美味しいコーヒーって何だろう?
ここ最近「美味しいコーヒーって何だろうね?」っていう話を何人かの方とする機会がありました。
コーヒーの味を決める要素には様々なものが存在します。
豆の産地だったり、焙煎度合いだったり、焙煎士の腕であったり。
そんないろいろなものが絡み合ってコーヒーの味は決まります。
つまりコーヒーの味というのは焙煎士の数だけ存在するわけです。
そうして生み出された多種多様なコーヒーの中から一つを選んで同じ淹れ方をしたとしても、
それを飲む人によって「美味しい」と思ったり「不味い」と思ったり、
意見が分かれることもあるわけです。
そう考えるとコーヒーにおいて普遍的な「美味しい」というものは存在しないということになります。
では提供する側は何を基準にしてお客さまにコーヒーを提供すればいいのか?
「そこはもう自分自身の舌を信じるしかないよなあ」
・・・というのが毎回この話をしたときに到達する結論です。
とは言え、できるだけ多くの方に美味しいと言ってもらえるコーヒーを提供したい。
そう思った時に味を平坦に標準化することで
多くの人に無難に美味しいと言ってもらえる方向性を目指すのか?
それともあくまで自分が美味しいと思う味で、
それを美味しいと言ってくれる人だけに喜んでもらえる味を貫くのか?
僕はそもそもスタートの時点でコーヒーの焙煎を商売にしようと思っていたわけではなく、
10数年前に自分で納得できる味のコーヒーを
自分で焙煎したいという気持ちから焙煎の勉強を始めました。
数年前に豆の販売やイベントの出店を始めたのも、ほんとに偶然の縁があったからというだけで、
現在もコーヒーで一儲けしてやろうとか、名前を売ってやろうという気持ちはほとんどありません。
単に自分が好きな味のコーヒーを焙煎して、まず自分が楽しみ、
何かの縁で飲んでいただける方にもおいしいと感じてもらえればそれで充分幸せです。
つまり僕にとっての美味しいコーヒーとは「僕が美味しいと思うコーヒー」に他なりません。
では僕が美味しいと思うコーヒーというのはどんな味なのか?
それはシンプルに言ってしまえば「豆の持つイメージが表現されたコーヒー」です。
ブラジルならブラジルらしい甘さや苦み。
マンデリンなら濃厚なコクと後味の余韻の甘さ。
ケニアなら鋭く刺すようなキレのいい酸味。
コスタリカなら複雑なアロマを感じられるワインのような奥深さ。
こうしたイメージはあくまで僕の中のイメージなので、
人によっては全く違うイメージの場合もあるかもしれません。
それでも自分がこれだと思う味になるよう試行錯誤して最終的に自信をもって焙煎する。
ちょっと尖ったところがあったとしても、自分がこれがいいと思った部分は決して曲げない。
これからもそういう焙煎を心がけて、
自分が美味しいと思うコーヒーを作っていきたいと思っています。