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2016-02-01

東京カランコロン 『noon/moon』 レビュー 現在進行形の「かわいくっていじわるな感じのバンド。ただしパンク」

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テクノやらテクノっぽい何かが好きな自分ですが、現在進行形の音楽も聴かないわけではありません。

ただ好きになる音楽の傾向は大体決まっていて
『かわいくっていじわるな感じのバンド。ただしパンク』というのが重要なキーワードです。

実はこのキーワード、90年代終盤から2000年代序盤まで活躍した
『cymbals』というバンドの結成時のコンセプトなのですが、
それ以来好きになるバンドは大体このキーワードに合致します。

東京カランコロンは『かわいくっていじわるな感じのバンド。ただしパンク』の現在進行形

そして現在進行形のバンドでこのコンセプトが一番ピッタリくるのが,
2007年結成の男女ツインボーカルの5人組バンド『東京カランコロン』です。

カランコロンという名前の響きにふさわしい独特の優しい世界観を持つ歌詞と歌声、
そして各楽器パートの巧みな音遊びが特徴的なバンドです。

デビューからちょっと前までの楽曲は「かわいい」が大きな要素だったのですが、
前作『UTUTU』からは「いじわるな感じ、そしてパンク」な雰囲気も
感じられるように大きく変化してきました。
下の動画の『笑うドッペルゲンガー』はこれまでになく世相や世代感を表現した
イジワルな感じで、これまでのイメージを覆すバンドの新境地とも言える楽曲でした。

ニューアルバム『noon/moon』は表情の違う2枚組アルバム

そして2016年1月に約1年ぶりのアルバム『noon/moon』が発売されました。
今作は歌を重視した『noon』と音遊びを重視した『moon』という
それぞれ7曲入りの2枚組アルバム(+限定版はライブDVDが付属)という、
歌も演奏も魅力的なバンドだからこそできる構成になっています。

このMVだけ見るとアルバムタイトルのとおり「昼と夜」をイメージしてしまいそうですが、
実際は昼と夜というよりも先述したとおり、「noon」が歌にこだわったアルバム、
「moon」が楽器演奏にこだわったアルバムになっています。

たとえば昔の東京カランコロンの作品で言うと、
「指でキスしよう」や「いっせーの、せ!」に近い雰囲気を持つ楽曲を収録したのが「noon」。
「かいじゅうになって」や「少女ジャンプ」に近い雰囲気をもつ楽曲を収録したのが「moon」です。

自分的にはどちらも「東京カランコロン」らしいと思うのですが、
このタイミングであえて一枚のアルバムにせず、
コンセプトごとに分けたのはなぜなのか?
その辺は今後のインタビュー記事等から見えてくるのかなと思ってます。

いずれにしても今現在の東京カランコロンの魅力がふんだんに詰まったアルバム『noon/moon』。
たのしく聴けるオススメの1枚(正確には2枚)です。

いい音楽はネットの波に埋もれている

最近の音楽業界はいいバンドになればなるほどテレビに出てこないような気がします。
昔と違って「だれもが知っている曲」=「いい曲」という図式はもはや成り立っていません。
また言うまでもありませんが「CDが売れているミュージシャン」=「いいミュージシャン」では
決してありません。

「昔はよく音楽を聴いたんだけど、最近はいいバンドがいなくってねぇ。」
という嘆きもよく耳にしますが、世間一般に出てこないというだけで、
現在進行形のいいバンドは今もたくさん活動しています。

様々な事情によりCDが売れないので見つけにくいですが、
特に若いバンドやミュージシャンはYoutubeやSound Cloudなどもネット発信を駆使して
自ら積極的に発信しているので、そうしたチャンネルをチェックすることで、

きっとあなた好みのミュージシャンやバンドが見つけられるはずです。ぜひお試しを。

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