Dittingのミルを自分で修理してみました
先日自宅で使っている業務用のDitting製ミルKFA-901が
「カキーン!」という高い音を響かせ、動かなくなりました。
寒い朝の出来事だったのでパーツが金属疲労で割れたのかな?と思ったのですが、
国内輸入代理店であるワタル株式会社のアフターサービス部門に問い合わせてみたところ、
「おそらく硬い石や金属などの異物が刃に挟まったのではないか?」との事。
意外にも結構多い故障事例なんだそうです。
いい機会なので自分で修理してみました
刃を外せれば状況は確認できるのですが、
実は以前掃除がてら分解した時に刃の上下ががっちりと固着してしまっていて、
どう頑張っても外せなかったので対処方法を聞いてみたところ
「バールを刃と刃の間に突っ込んでこじ開けちゃってください。」
というなんともワイルドな回答をいただきました。
「それだと刃が傷みませんか?」と素朴な疑問をぶつけてみたところ、
「そのくらいでどうにかなっちゃう刃じゃないんで大丈夫です。」とのこと。
なんと心強い。
というわけでホームセンターでバールを購入して初の本格的な分解に挑戦。
まずはミル上部のプラスチック製のホッパー部分を本体から取り外すのですが、
ここでホッパーと本体をつなぐネジのナットが1つ無くなっていることを発見。
前回内部を掃除した際にはあったので、ミルの振動でネジがゆるみ、
ナットが投入口から内部に落ちた可能性が濃厚になりました。
で、それが刃に挟まって動かなくなってしまったと。
ミル自体は非常にシンプルな内部構造になっていて、
ホッパーを外すと上の刃を固定する重厚な鋳物が、
下の刃の鋳物とネジで固定されています。
なにぶん40年近く使われてきたのでネジを外しても、
上の鋳物と下の鋳物が油分などでまるで接着剤でくっつけたかのように
固着してしまっている訳です。
実は最終的に外れた日の前日、前々日にもバールで外す作業にトライしてみたのですが、
バールの先を刃と刃の間に差し込んで持ち上げても、
本体が持ち上がってしまうだけで(本体重量は40kgくらいあるにもかかわらず)、
一向に固着した刃が外れる気配はありませんでした。
そして三日目。
いよいよ埒があかないので意を決してバールを突っ込み、
てこの原理で少しずつ角度を変えながら力を加えること数十分。
ついに「カコーン」という乾いた音と共に上部の鋳物が外れました!
というか正確には上下をつなげる3本のネジ止め用の柱の内1本が
加えられた力に耐え切れず根元から折れて、
そのおかげでなんとか外す事ができたと言った方が正しい表現です。
外れた刃の内部をチェックすると、そこには無残に砕かれたナットの残骸が。
最終的に挟まってしまったけど、ナットは完全に切断されていました。
Dittingの刃、おそるべし・・・。
どう考えてもコーヒー豆を粉砕するためにはハイスペック過ぎるだろう、これ(苦笑)
新しい替え刃も持っているので、
いい機会だから刃の交換もしてしまおうと思っていたのですが、
鋳物と刃を固定するネジも相当硬く、
電気ドライバーじゃないと無理っぽかったので今回は断念。
40年近くコーヒー豆を砕きつづけてきた刃は
さすがに新品の刃に比べるとだいぶ磨り減っていましたが、
もうしばらくは使えそうな感じでした。
なによりすごいのは金属のナットを粉砕した上に、
バールを突っ込んで負荷を与えたにも関わらず、
ミルの刃自体には全く刃こぼれが無いということ。
「Dittingのミルは素晴らしい」というのは知識としては知っていましたが、
この刃の耐久性を目の当たりにしたら、高価な販売価格にも納得です。
上下の刃をつなぐ3ヶ所のネジの内、1カ所が使えなくなってしまったので
ちょっと心配だったのですが、
組み立て直してコーヒー豆を挽いてみたところ、特に問題なく使えたので一安心。
自分で直すとさらに愛おしくなります
さすがにいろんな人の手を渡りながら40年以上使われてきたミルなので、
そろそろ金属疲労とかは出てくるのはしょうがないとして、
今回の一件でさらに愛着が増したので、
動く限りは今まで以上にきちんとメンテナンスしながら、
大事に使ってあげたいと思います。
多少値段は高くても、やっぱりいい道具って長く使えるしいいものなんだなー。
ということを再確認しました。
さすがに値段がアレなんで家庭での使用にはオススメはしませんが、
「自分は一生コーヒーを愛しつづけます!」
っていう方は思い切ってDittingのミルを買ってしまうというのもアリだと思います。
ただし家族の了解は得てからにしましょうね。