落語会をやってみよう!(開催マニュアルのようなもの)

2025年6月22日に春風亭昇羊さんをお招きして悟理道珈琲工房主催の落語会を開催しました。落語会を開催するのは初めてだったのでいろいろと手探りではあったのですが、無事大入り大盛況で終えることができたので「自分も落語会をやってみたい!」とお思いの方向けのマニュアル的な感じで今回の開催で得た知見とノウハウをまとめておきます。
落語会の主催に向いてる人、向いてない人
「落語が好き」という方であればどなたでも落語会の主催に向いていると思います。なぜなら落語家さんとの事前の打ち合わせや会場づくり、告知やチケットの販売、当日の運営、無事に会が終了した後の打ち上げまですべての行程が楽しくてしょうがないと思うので。逆に「全く落語には興味がないけど企画として面白そうだから誰か落語家を呼んでみよう!」という方は落語会の開催には不向きだと思います。どんなイベントでもそうですが企画内容への最低限の愛は必要なものだと思います。
落語家さんへの仕事の依頼方法
自分の場合は著書を店舗で取り扱ったのをきっかけに昇羊さんがお店に足を運んでくれて、そこからとんとん拍子で落語会の開催に至ったわけですが、これは落語家さんと知り合う手段やそこからお仕事を依頼する方法としてはかなりのレアケースだと思います。(レアケースだからこそ心をぐっと掴まれたとも言えますが。)じゃあどうするのが一般的なのかを少し調べてみたところSNSやホームページのお問い合わせフォームからお仕事の依頼を受け付けている落語家さんが結構いらっしゃいまして、こちらからお問い合わせするのが良さそうです。お目当ての落語家さんがいる場合にはSNSなどをチェックしてみるといいと思います。連絡が取れたら公演日や謝礼額、会の内容(何席演ってもらうか?前座さんも呼ぶのか?)などを相談し、双方の合意をもって開催決定となります。

落語会の開催に必要なもの
①出演してくれる落語家さん
小規模な落語会なら出演する落語家さんは一人で大丈夫だと思います。自分の場合は前座さんに落語を演じられる場所を提供したいという気持ちもあったので、昇羊さんにお願いして前座さんも一緒に来ていただきました。結果的には場の雰囲気がものすごく温まったので前座さんに来ていただいて大正解でした。

②出演料
出演料は落語家さんとの相談で決めますが階級(前座・二つ目・真打)である程度の相場はあるみたいです。同じ階級であってもメディアで見かけるような人気のある方は出演料もそれなりに高くなるものと思われます。具体的な額を書くのは憚れるので他ジャンルで例えますとDJの出演料の相場に近いなと思いました。誰もそんなもんの相場知らんだろうけど。なお出演料はご祝儀袋に入れて当日直接お渡ししたのですがこの方法で正解だったのかどうかは今もって謎です。でもまあ銀行振込とかじゃ味気ないしおそらくこれで良かったのでしょう。
③お客さん
せっかくの落語会なのでたくさんの人に落語を楽しんでほしいし、会場規模にもよるけど客席がパンパンに埋まってた方が落語家さんも気合が入るはず。というわけで集客はとても大切です。入場料を取る場合はチケットの価格設定も悩みどころですが諸々の経費と会場のキャパから算出して決めましょう。チラシやチケットで使った昇羊さん本人の写真はお願いしたら頂けました。XなどのSNSで開催のお知らせをすれば落語家さん本人もリポストしてくれるので遠方からファンの方が足を運んでくれるなんてこともあります。

④会場とそれに付随するもの(高座など)
実は落語家さんに来てもらう以上に難しいのが会場探しや高座などの準備です。自分でお店をやっている人であれば店内で落語会を開催するという方法もあります。その場合カウンターなどがあれば高座代わりに利用できますのであとは毛氈と座布団があれば大丈夫です。今回の落語会の場合、ウチのお店でやるには客席キャパが少なすぎるので会場は外部にお借りしました。幸運なことに市からまちづくり活動を委託されているNPO法人に会の共催になって頂けたので、そちらが管理しているキャパ50人程の多目的ホールを無償でお借りすることができました。落語家さんが着替えることができる控室もばっちり完備されていてまさに至れり尽くせり。またホールには備品として客席用の椅子もあったのでとても助かりました。一方で開催ギリギリまで頭を悩ませていたのが落語家さんが噺をするための高座です。客席が椅子の場合、高座の高さは110cmくらいあるといいのですが、会場の備品の会議机だと天板までの高さは70cm程。脚に何かをかませて嵩上げしようかと思いましたがそれだと安定感に不安が残る。結局、市の備品でポータブルステージという嵩上げ用のフローリング床があることが分かりそれをお借りすることができたので、その上に会議用テーブルを置くことで解決しました。ネットで検索するとビール箱を大量に用意して高座代わりにするなんていう方法もあるのですが、意外と貸してくれるところがないので高座づくりは想像以上に悩みどころになる気がします。そして高座の上に敷く赤い毛氈、これもなかなかのレアアイテムなのですが、今回は友人の伝手で大量にお借りできました。毛氈についてはどうしても用意できなければ落語家さんが持参してくれる場合もあるので事前に聞いておくといいと思います。他に当日必要なもので地味に用意するのが難しかったのが出囃子などを鳴らすためのCDラジカセです。これも結局知人にお借りしました。一番太鼓や二番太鼓、出囃子を鳴らしたり止めたりするタイミングは当日落語家さんが教えてくれます。CDも事前にお願いすれば持参してくれるので忘れずに伝えておきましょう。

広げているのがポータブルステージという便利アイテム。ただしクッソ重い。

開催当日に昇羊さんの指導で美しい高座に生まれ変わりましたのでご安心を
みんな落語会やろうぜ!
というわけでざっくりではありますが以上が落語会開催までの流れになります。自分でやってみて想像していたよりもスムーズに開催することができたのでビックリしました。最初にも書きましたが落語が好きな方なら誰でも実現可能だと思います。特に二つ目の若手落語家さんを地方で見る機会というのは本当に少ないので、地方在住で推しの二つ目がいる方は自分が席亭となって落語会を開催すればお客さんにも落語家さん本人にも喜んでいただけるのではないかと思います。ぜひ参考にしていただければ嬉しいです。