toggle
2015-12-17

コーヒーのセレクトショップという考え方

コーヒーのセレクトショップ

せっかくホームページをリニューアルしたのでイベントのお知らせだけではなく、今後はコラム的なものも書いていこうと思っています。コーヒーについてはもちろんですが、音楽とか写真とか悟理道珈琲の世界観を表現できたらいいなと思ってます。案外こういうのの積み重ねが実店舗を作る時の指針になるかも知れないし。

さて初のコラムはタイトルの通り「コーヒーのセレクトショップという考え方」についてです。

コーヒーを販売するお店というのは大きく分けると2つのタイプに分けられます。ひとつは「自家焙煎店」、もうひとつが「非自家焙煎店」です。コーヒー業に携わっている人間には当たり前の違いなのですが、イベントなどでお客様と話していると、この違いを認識していないという方が意外と多いことに気づかされます。

「自家焙煎店」とはコーヒー生豆を仕入れて自店舗で焙煎機を使って焙煎を行うお店のこと。細かく分けると自家焙煎店にも2種類あって、焙煎を行った上でカフェ・喫茶店形式でお客様にドリンクとしてのコーヒーを提供するお店と、現時点の悟理道珈琲のように基本的にはドリンクの提供はせずに豆の卸、小売だけを行うお店に分けられます。

一方「非自家焙煎店」とは自家焙煎店や大手商社から焙煎されたコーヒー豆を仕入れてドリンクの形で提供するお店のことです。これまで非自家焙煎のお店はコーヒーよりもフードやお酒に力を入れるところが多く「カフェ」という呼称が主流だったのですが、最近ではこだわりを持ってコーヒーを提供するお店が増えてきて自家焙煎でなくとも「コーヒーショップ」「コーヒースタンド」と呼ばれるお店も多くなってきました。

で、ようやく本題に入りますが最近面白いなぁと思うのが、こうした非自家焙煎店で複数の自家焙煎店からコーヒー豆を仕入れて提供するお店が徐々に増えてきているということです。

たとえば悟理道珈琲がお付き合いのあるお店で例を挙げさせていただくと”Takane Man Coffee”さんではウチや「あおぞら珈琲」さんなど数店舗、”Cafe Q”さんではウチと”Cafe FUJINUMA”さんと「豆時計」さんの豆を使い、お客様にチョイスしていただく形でコーヒーを提供するスタイルを採用しています。

良く考えてみると、この販売スタイルはコーヒー業界にとっては結構画期的なものなんじゃないかという気がします。

従来の非自家焙煎のお店は一般的に豆の卸元である自家焙煎店を1カ所に限定して取引するのが普通でした。そもそもコーヒーを「メインメニュー」と考えるお店が少なかったので複数の自家焙煎店を利用する必要性がないし、そうした状況下では複数の自家焙煎店から豆を仕入れることは争いやいがみ合いの原因にもなりかねないので当然といえば当然です。

ところが最近のコーヒーブームにより「おいしいコーヒーが飲める店」というのはお客様のお店を選ぶ理由の一つに充分なりえるようになりました。同時にそれぞれ強い個性を持つ新しい世代の若い焙煎士が都内のみならず栃木にも徐々に増えてきていて、おいしいコーヒーの選択肢の幅も広がりつつあります。

そんな環境の変化の中で非自家焙煎店が複数の自家焙煎店から気に入ったコーヒーをチョイスしてお客様に提供する「コーヒーのセレクトショップ」化はいたって当たり前のことなのかもしれません。お客様にとっても一つのお店で複数の自家焙煎店の味が楽しめるというのは大きなメリットだと思います。

洋服なんかでもブランドそのもののファンはもちろん存在しますが、似たようなセンスを持つ洋服をブランドを問わずに集めたセレクトショップには、そのお店自体のファンが存在します。このようなセレクトショップファンの方は、きっとブランドイメージよりもより普遍的なライフスタイルを提案してくれるショップそのものへの共感が強いのではないでしょうか。

自分はコーヒーというものは洋服同様に「ライフスタイルの表現が可能な存在」だと思っています。単なる飲み物としてではなく、それに付随する抽出器具や食器、焙煎機、さらにいえば最近のコーヒーショップのインテリアまでひっくるめて自己表現の手段の一つになりえる存在です。

そういう意味でコーヒーのセレクトショップが増えていくことで、お客様にコーヒーを媒介としてライフスタイルの提案ができれば、これからのコーヒー業界はお店側にとってもお客様にとっても、さらに幸せなカタチになっていくのではないかと期待しています。

Pocket

関連記事