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2020-05-26

緊急事態宣言中の変化とこれからの予測

新型コロナウィルス感染拡大を防ぐための緊急事態宣言がとりあえず解除されました。このまま収束に向かうのを祈るばかりですが現実的な問題として第2波・第3波が起こる可能性もあるので忘れないうちに「緊急事態宣言」が発令されてからお店を取り巻く環境がどう変化したのかを記しておきたいと思います。意外にも悪いことばかりではない。

1.客数の減少

これはもう致し方ないですが「外出自粛」の影響で客数が大幅に減少しました。体感的には街(栃木市中心部)を歩く人は以前と比べて平日で3割減、土日で7割減といったところでした。お店への来店組数はデータを比較すると平日が3割減、土日で半減といったところです(詳細なデータは4月5月の収支報告で公開します)。特に観光で栃木市中心部を訪れた人は4月の緊急事態宣言発令以降ほぼ皆無だったと思います。こういう事態を予測するのは無理とは言え観光地でお店をやることのリスクを知ることができました。

2.豆売りの増加

休校や在宅勤務などで自宅で過ごす時間が増えた人が多くなったため、自宅でコーヒーを淹れる用のコーヒー豆の持ち帰りが急増しました。客数の減少の割にそこまで壊滅的な売上になっていないのはこれが大きな要因です。ただし液体にして販売するのに比べて原価率はぐっと上がります(つまり利益は減ります)。あと店主は人の顔を覚えないことで有名なので自信を持っては言えませんが、初めての来店で豆を買っていってくれるご近所にお住まいの方が増えた気がします。これは良かった点です。

3.テイクアウトに関して

緊急事態宣言中はテイクアウトのみの営業スタイルでした。まあコーヒースタンドってもともとテイクアウト中心の営業スタイルなので違和感はなかったのですが、ウチのお店は店内で飲みたいという方が多い割にあっさりと受け入れられてちょっとびっくりしました。紙コップやプラスチックカップの消費が半端ないので経費的には痛いですね。緊急事態宣言が出ている間はカップ代を10円くらい上乗せして販売すればよかったなぁと後悔(反省)しています。そういえば今までテイクアウトをしていなかった飲食店がテイクアウトを始めた時に店内での飲食より安めの価格設定にしていたのが見受けられたのですが、あれはどういう計算のもとにそうしていたのかものすごく疑問に思います。どう考えても逆だろう。

4.時間の使い方が上手になった

ヒマな時間は前からあったのですがさらにヒマな時間が増えたので、いい機会なので毎日の時間の使い方を見直しました。特にこれまで焙煎は店休日や開店前、閉店後に行っていたのですが、営業中でも全然できますね。これによって作業が効率化できたのでYouTubeによる動画配信が始められました。動画編集も営業中の手に空いた時にできるので今のところ無理なくやれてる・・・というか以前より時間に余裕ができています。

以上の4つが緊急事態宣言下での大きな変化です。

で、世の中では「コロナ後の世界」とか「新しい生活様式」とか言われていますが観光地にある小さな自家焙煎コーヒー店を取り巻く環境は今後どう変化し、それにどう対応していったらいいのかもちょっと考えてみます。

1.観光に頼らない経営の必要性

緊急事態宣言が解除されても感染再拡大の懸念は残っているわけで、大規模なイベントなどは当分開催できないでしょう。実際栃木市も今年はサマーフェスタとかのイベントの中止が決まっています。しょうがないことではありますが観光地にお店を構えるものとしては貴重な収入の機会を失うこととなり結構な痛手です。一方観光需要が減るということは裏を返せば比較的近いエリアにお住まいの方の需要は増やすことができる余地があるということです。これまで以上に地域性を考えた営業スタイルが重要になると思います。

またもう一方で在宅勤務やZOOMの活用などが広がったおかげで「オンライン」の可能性が広がりました。すべてがオンラインのバーチャルなものに置き換えられるとは思っていませんが、置き換えたほうが効率が上がるものや活動の可能性が広がるものに関しては積極的に導入していくべきと考えます。お店でいえばこれまではホームページやSNS、ネットショプという2次元なものだけをオンライン上で展開してきましたが、今後はYouTubeやZOOMを使ったオンラインワークショップなどこれまでよりも少しだけ立体感を持った2.5次元的な活動で利益を生み出せる可能性が高まったと感じています。

これは店舗運営だけに限らず観光でもそうで、来てもらえない、イベントができない状況だからこそオンラインを活用した取り組みをしておくことで収束後の復興のスピードを上げることができるのではないかと考えています。

2.なにがあってもいいように軸を増やす

世界的な流行の拡大でコーヒーの流通にも影響が出てくるのではないかと懸念していましたが、いまのところは大きな影響はなさそうです(ただしアフリカと南米はちょっと不安ですが)。とは言え「いつなにが起きてもおかしくない」というのは昨秋の洪水と今回のコロナで痛いほど思い知りました。そして「飲食店の経営基盤というものは想像以上に脆い」ということも今回皆さんの知るところになったのではないでしょうか(笑)。

いつも言ってますが飲食店というのは儲かる商売ではありません。多くの人が「やりたい熱意」でやっていると言っていいと思います。なのでこういう非常事態への柔軟な対応というのは難しいところがあります。ただそれじゃダメなんですよね。自分がやりたいことだからこそなにか起こっても守れるようにしておく準備はやはり必要です。

自分の場合で言えば「コーヒー」を軸として「スクール」や「YouTube」で原価のかからない別の収益を立てることを当面の目標にしています。この他にも時間が許せばいくつかチャレンジしたい事もあるのですが、こういう本業に付随しつつ不測の事態が起こっても影響を受けにくい収入を作る努力は今後の飲食店には必要になってくるとおもいます。もちろんベースになる本業をおろそかにしないでしっかりとやった上での話ですが。

・・・とまあ色々書きましたが、人間という生き物は「喉元過ぎれば熱さ忘れる」生き物です。意外と来年あたりには何事もなかったように普通にオリンピックで盛り上がっているかもしれません(その可能性は低そうですが)。

この投稿は将来の自分への警告と戒めのために書きました。

相変わらず事業を大きくする気はありませんが、淡々と日々楽しく暮らすための努力はしていきたいもんだと思います。

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