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2016-01-07

おいしいコーヒーの淹れ方【道具編】その3 コーヒーミルについて

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おいしいコーヒーの入れ方【道具編】の最終回となる3回目はコーヒーミルについてです。

最近はコーヒー豆の品種や品質にこだわって購入される方が多くなってきていて
コーヒー豆屋的にはうれしくてありがたいことこの上ないのですが、
ちょっと残念なのが多くの方が粉に挽かれた状態の豆を買われていくということです。

コーヒーは粉に挽くと酸化のスピードが一気に上がるため、味の劣化も早くなります。
できることならば豆のままお買い求めいただき、自宅で飲む直前に挽いていただくのが
コーヒー屋としては理想なのですが、実際そうされている方はまだまだ少ない。

お客様に自宅で豆を挽かない理由を尋ねてみるとだいたい2つの答えが返ってきます。
「面倒そうだから」と「どういうミルを使えばいいのかが分からない」です。

そこで今回はその2つの理由を解消できる(かもしれない)
「ミルの種類と選び方」について書いてみようと思います。

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上の写真はいま悟理道珈琲宅にあるミルたちです。左から順に

  • 業務用電動コーヒーミル
  • 家庭用電動エスプレッソ専用グラインダー
  • 家庭用電動コーヒーミル
  • 家庭用手廻しコーヒーミル

となっていて、それぞれ用途や得意不得意は異なりますが、
どれも「コーヒー豆を細かく砕く」という基本性能は一緒です。

それぞれ簡単に説明しながら、オススメの商品をご紹介します。

業務用電動コーヒーミル

自分はスイスのコーヒーミルブランドDitting(ディッティング)社の製品を使用しています。
コーヒー豆を挽くことしかできないくせに大きくて重いです(40kgぐらい)。
家庭用との大きな違いは、豆を挽くスピードが速いことと
エスプレッソ用からペーパー用まで一台で幅広い挽き目のグラインドが可能なことです。
100g位なら10秒もかからずに挽き終わりますので、
挽き刃の摩擦で発生する熱による豆の劣化を最小限に抑えられるのがポイントです。
ただし価格がウン十万円してしまうのでご家庭での使用は現実的ではありません。
そのかわりめったなことでは壊れません。
自分は15年位前に使用年数不明のものを中古で購入したのですが、
昨年代理店の方に聞いたところ30年位前のモデルとの事でした。
今のところお手入れ以外の大きなメンテナンスをしたことはありません。
一応替え刃も持っていますが、今のところ交換する必要もなさそうです。

家庭用電動エスプレッソ専用グラインダー

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ミルとグラインダーの違いってなに?と疑問に思われるかもしれませんが、
呼称が違うというだけで実は全く一緒です。
強いて言えばミルの内、エスプレッソ用途で用いられるものは、
なぜか「グラインダー」と呼ばれがちです。

写真はエスプレッソマシンでおなじみデロンギ社の製品です。
目盛りで挽き加減の調整も可能なのですが、
ペーパードリップに使うような粗さにはならないので事実上エスプレッソ専用になります。
たまに知らないで買ってしまう方もいらっしゃるみたいなので気をつけましょう。
自分もイベントでエスプレッソを作るとき用に買ったので、
自宅ではDittingがあるし使わないかな?と思っていたのですが、
さすがに専用だけあって、こっちで挽いた方がおいしいエスプレッソを抽出できます。
なので結果的には大変重宝しています。
お値段も1万円程度なのでエスプレッソマシンをお持ちの方にはオススメです。

ちなみにエスプレッソ専用グラインダーには業務用もあります。
家庭用と比べると粒の細かさと美しさが段違いなので、
おいしいエスプレッソにこだわるのであれば欠かせません。
ただしエスプレッソマシンもそれなりにいい物を使わないと
オーバースペックになってしまいますので難しいものです。
こちらはやっぱり10万円から30万円くらいしちゃいます。
豆を挽くことしかできないんですけどね(苦笑)

ご家庭でペーパードリップ用の豆を挽くのに最適なのがこのクラス。
小型で軽量なので自分はイベント用に使っていますが、
上の写真のような形状のものは喫茶店やカフェでもよく使われています。
このクラスは価格帯の幅が数千円~3万円程度までと広いので、
購入する時にどれにするか迷われる方が多いと思います。
そこでオススメのモデルを価格帯別にいくつか挙げてみます。

1万円未満

実際使ったことはないのですが、
挽き加減の調整もできて実際に購入された方のレビューでの評価も高いので、
最安値ではコレがオススメです。
これよりも安い電動ミルで挽き加減が調整できないものもあるのですが、
それは絶対に避けましょう!
安物買いの銭失いを経験することになるだけですので。

ちょっとデザインにこだわりたいという方にはこちら。
ややエスプレッソ向きの細かめの挽き目設定なので
フレンチプレスには不向きかもしれませんがペーパードリップなら問題なく使えます。

デバイススタイルは価格の割に性能のいいコーヒ-関連用品を
たくさん生み出している実績があるのでオススメです。

1万円~2万円

たぶん自分が使っているモデルの後継品だと思われるのがこちら。
ボンマックという聞きなれないブランドの製品ですが、
日本ではコーヒー用品大手のラッキーコーヒーマシンが販売しています。
「業務用マシンをそのまま小型化」しているのを売りにするだけあって、
非常にきれいに均一な粗さにコーヒー豆を挽くことができます。
また粒度(豆の挽き加減)の幅も1万円未満のモデルよりもグンと広がります。
毎日使う分にはお手入れもほとんど必要ありません。
自分は最終的にデザインの良さと価格のバランスでボンマックを選びました。
イベントで使っていて不満に思ったことは一度もありません。
安心感・安定感・壊れにくさを求めるならこの価格帯がオススメ!

2万円~3万円

喫茶店やカフェでよく見かける、
ちょっとレトロな雰囲気も感じるデザインのミルが
こちらもコーヒー用品大手のカリタのナイスカットミルです。
昔から定番モデルとして高い人気を誇っています。
自分はレトロな雰囲気がイヤで敬遠しましたが。
性能的にはボンマックのミルとほとんど変わらないと思います。

3万円以上

3万円を越すと家庭用と言っていいのか怪しいような気もしますが、
最近気になるコーヒーミルが発売されたので一応ご紹介。
上記のナイスカットミルを販売しているカリタから
【ネクストG】という名前のカッコイイ商品が発売されました。
樹脂素材を使用かつ静電除去装置を搭載しているので
これまでのミルの課題だった静電気によるコーヒー粉の飛散が少なくなっています。
またモーターの回転を抑え熱の発生を少なくして風味の劣化を抑えています。
ちなみに販売価格は59,400円です。

以上が家庭用電動コーヒーミルの紹介となります。
上で紹介した各モデルは
ペーパー・フレンチプレス・エアロプレスなどには
問題なく使用できますが、
エスプレッソ用の細かさには挽けませんのでご注意を!
エスプレッソもドリップもやりたいという場合には、
業務用電動ミルを買うか、家庭用でそれぞれ専用ミルを買うしかありません。

家庭用手廻しコーヒーミル

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正直豆を挽くのに時間はかかるし、腕は疲れます。
でもゴリゴリと豆を挽く時間もコーヒーを味わうための大切な要素の一つと
感じることができるのであれば、手廻しミル以上のミルはありません。
大事なことなので太字にしました(笑)。
自分も学生時代はこれでゴリゴリやってました。

今ではすっかりイベント時のディスプレイ用品になってしまいましたが。
シンプルな構造ですが、意外にも豆の挽き加減の調整は可能だったりします。

以上それぞれご紹介しましたが、
これ以外にもそれぞれのブランドから多種多様なコーヒーミルが出ています。
気になる方はぜひメーカーのホームページなどをチェックしてみてください。

最初にも書きましたが、コーヒーは飲む直前に挽いた方が格段においしくなります。
せっかくおいしい豆を選んだのであれば、ぜひ豆は自宅で挽いて欲しい。
そんなコーヒー屋からの願いをこめた記事でした。

「おいしいコーヒーの淹れ方」次回からはいよいよ実践編に突入します!

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